絶縁交渉を頼む弱気な依頼者
基本的に我々の仕事は、調査結果を報告した時点で終了です。しかし依頼者のなかには、調査後のおおよその交渉の席に同席してくれという頼みごとをしてくる人もいます。自分では細かいことを言いにくい気弱な性格の人に多いように思います。こういう依頼を受けてしまうと、断る探偵もいれば、野次馬根性や交渉料をもらえるため自ら首を突っ込んでいく人も少なくないようです。不謹慎なのですが、交渉の席で「さぁ、証拠の映像も出ているし、パートナーさん、これで奥さん(あるいは旦那さん)と別れて『二度と会わない』という念書にサインして下さい」と言って交渉相手に言い放ってくれる探偵もいるのだそうです。もちろん交渉相手に言いくるめられてしまう探偵もいるのですが……。色恋沙汰でもめて交渉席でのやり取りに巻き込まれると、やはり修羅場を経験することになります。とはいえ依頼者にすれば、自分一人では絶対に言えないことを探偵に代弁してもらえるわけですから、頼んでしまう気持ちも理解できなくはありません。