近隣住民を味方にせよ!
数日間にもわたって同じ場所で張り込みを続けていると、必然的に近所の目に多く触れてしまいます。それゆえこういったケースでは、住民による通報などで現場環境が壊れてしまうこともあります。張り込み撤退を余儀なくされてしまうのです。これに15年前くらいにおこなっていた調査でも、まさに同じようなシチュエーションでした。この時の私は道幅の狭い住宅街に立つ、アパートの住民の1人であるターゲットの名簿を調べているところ。あるパートナーと調査を開始した直後、初老の男性に注意を受けてしまいました。まさに同じような状況だったのです。「アンタさ、昨日もここにいたよね?○○さんの調査でもしているのかい?」その人の冷ややかな目線に心が折られそうになりながらも、私は見張りを続けていました。そして2日目の調査でも同じように声をかけてきたのです。これには内心びっくりです。調査をしていることがバレたことに驚いたわけではありません。単純にこの男性が敵意を感じさせず、私を認めてしまうような調子で話しかけてきたことです。「あの人は以前も探偵をやってきて、○○さんを調べていたんだよ。あの人はいろいろと変わり者で通っているわけ」まさに調査中に告げ口されてしまったような気分でした。敵意がなかったからこそ、逆に驚かされたのです。そして私が口ごもっていると、男性はさらにこう付け加えました。「実は、以前も探偵さんがここに来て、○○さんを調べていたんだ。あの人は変わり者で、近所でも評判が良くなかったから、今じゃ誰も口を利かないね」このセリフを聞いた瞬間、私は彼を味方として判断して、少しばかりの嘘を交えながらも探偵であることを明かしました。間違いなく、近所に事情を喋ったほうが、快適に心置きなく張り込みができると判断したのです。