不倫する人の環境と特徴
不倫と浮気の違いについて、探偵たちはよく話題にしている。その中で大体一致する結論は、「浮気=遊び」「不倫=配偶者以外に対して恋愛感情ありきの欲望」となるようだ。確かに浮気は風俗店に通っても浮気であるが、特定の女性と長期にわたって交際するというものではない。それに対して不倫は、特定の女性とわりと長いスパンでお付き合いし、下手をすれば〝生きるの死ぬの〟と、ちょっと古いが「失楽園」状態の泥沼に陥りやすい。簡単に言えば「浮気」は、ちょっとした出来心なので、奥さんに頭を下げれば解決するが、「不倫」は事実が発覚しても愛情が強いと難しい場合もあり、結局、離婚に向けての話し合いとなっていく。こうした既婚者と不倫関係にある女性のことは、一般的には「愛人」と呼ばれているが、かつては「お妾さん」という言葉も使われていた。お妾さんは、本妻さん公認の存在で、毎月のお手当を貰い生活していた。テレビドラマや時代劇などで、そんなお妾さんが登場することがある。だからなのか、特定の女性と不倫関係にある男性は、経済的に余裕のある富裕層に属し、会社経営者や医者などが多いと思う向きがある。しかし、実態はそうでもない。むしろ、お金持ちの方は、派手に遊んだり浮気をしたりすることはあっても、特定の愛人を持つケースは、今やほとんど稀である。なぜなら、企業経営者にとって、愛人スキャンダルが発覚しようものなら、一発で社会的に抹殺されかねないコンプライアンス重視の時代となっているからだ。しかも、今はSNSもある。リベンジポルノという言葉も浸透しているとおり、愛人とのSEX写真を公開でもされたら、大変なことになってしまう。ましてや有名人や知名度の高い企業の経営者だったりした時には、ワイドショーの餌食になってしまうのがオチである。だからなのか特定の愛人と不倫関係に陥るのは、実は富裕層の男性ではなく、ごく普通の平凡なサラリーマンが少なくない。これは働く既婚女性にも言えることだ。その理としてあげられるのが、社内不倫性と親しくなれる環境が整い過ぎているという点だ。上司と部下、同期入社の同僚、あるいは取引先の社員……などなど、業務を通していつでも異性と知り合うことができる上、仕事の苦労を分かち合ったり、悩みや分からないことを相談したり、とにかく心と心が繋げる要素が盛り沢山なのである。こうした典型的な社内不倫の調査は、一見、簡単そうに思えるが探偵たちの答えはノー。その一例として探偵が挙げてくれたのは、ある有名IT会社の社員同士による不倫だった。調査を依頼したのは、その会社に勤める男性の妻。夫は38歳で妻は年上の43歳。なんと夫は、年上好きの甘えん坊体質なのか、同じ会社の40代独身女性である直属の上司と不倫関係に陥っているという。帰宅も遅く、連絡のない外泊も多い。夫婦のコミュニケーションは限りなくゼロに近く、夫はもはや妻を顧みなくなっていた。「これは私にとって、殺人級の裏切りです。二人を無茶苦茶にしてやります!」と、妻は夫よりも5年上の不倫相手に怒り心頭の様子だった。そんな証拠を掴むのは簡単だったが、問題はそのあとだった。なんと妻が夫の会社に乗り込んで、夫と女性上司の不倫を証拠写真とともに、その上席の上司、強いては執行役員などにも回覧の上、話し合うことになった。妻は社内でも騒ぎしたため、女性上司が謝って別れるものと思っていたが、彼女は社の幹部を目の前にしても、一切動じることなくこう言い放った。「私はキャリアなんていりません。処分はどうぞお好きなように。私はクビになっても好きな男性と一緒にいられるのが一番幸せですから」と、強気な不倫相手に揉めに揉め、結局、依頼者である妻と夫は離婚。不倫相手である女性上司の完全勝利……かと思いきや、夫が既婚者だった頃は、障害があるからこそ盛り上がっているにすぎず、その後、元夫と女性上司は「こんなはずじゃなかった」と別れてしまったという。失うもののほうか多く、誰も幸せにならないのが、典型的な社内不倫なのかもしれない。