第1位:警察官
難儀な不倫調査、実は上には上があり、探偵たちが異口同音にあげた第1位は、警察官の不倫案件だ。現役の警察官の不倫案件は、とても困る。奥さんからの調査依頼は警察官の妻だけに、調査を頼むことにそれほど抵抗を抱かないからのだろうか、頻度は高い。警察官の不倫相手は、同じ署内の女性警察官であることが多い。これは警官の危機管理意識の表れと言えよう。不倫相手が同じ警察官であれば揉めたとしても、世間に知られることはまずない。警察内部で処理され、あたかも不倫問題などなかったかのように解決される。もちろん本人たちへのペナルティはあるだろうが……。「警察官、夜のパトロールは情熱派!?」「不倫警官ひらきなおり、浮気して何が悪い!」など、女性雑誌や週刊誌のネタになりかねない危うさを持っている。それもこれも社会の模範となるべき警察官だからこそ、高い倫理観を求められているのだろう。しかし警察官でも人間である。不倫と分かっていても、欲望に負けてしまうのを批判することはできない。ともあれ、警察官の調査は苦労続きだ。なにしろ国家権力を持っているもので、何かあれば職質の上、別件逮捕で拘束される可能性(いまだそうしたことはないが)もゼロではない。しかも尾行は、さすが警察官、すぐにバレてしまう。探偵同様、周囲に目配りをかかす隙が無いのだ。調査を少しでも進展させるには、ここでも依頼者である妻の協力が必要不可欠と言える。まず不倫相手の女性警察官の情報をひそかに集めてもらい、ターゲットをしぼって調査するのだが、若い女性警察官であればプライベートで心の隙をつくことが可能だ。しかし、ここまでたどり着くには、通常の不倫調査の何倍も労力がかかり、探偵もずっと神経を張り詰めた状態を維持しなくてはならないので、難儀する不倫調査の不動の第一位と言えるだろう。