自転車の防犯登録が決め手
人間関係に悩み、家出した20代の息子の捜索を親御さんから依頼され、その分野に強い弊社の腕利き探偵三人で特捜チームを結成。捜索開始からすぐに重要な情報を入手。なんと貯金通帳を自宅に置いていたので、現金を引き出した支店名が判明したのです。ちなみに貯金通帳に引き出した支店番号が記されるのは、銀行のうち三行のみで、他の銀行は記載されないようになっています。こういうことも知っておかなければならないのが探偵です。特捜チームは、まだ現れるかもしれない銀行支店に数日張り込んだのですが、当該家出息子は現れず。「本当にこの近辺にいるのか? いたとしても、もう他に移ったのではないか?」と特捜チームが、さらに決め手となるものはなかいと再びリサーチしたところ、自宅から自転車もいなくなっていることが判明。しかも親御さんが防犯登録の番号を控えていたのが、大きな幸運に繋がったのです。銀行支店周辺の駅、バス停……など自転車が停めてある場所をしらみつぶしに調べる。地べたに駅前に何百台と駐車してある中から、失踪当時、息子が乗っていた自転車を発見。そこ張り込んでいると、その息子がふらりと現れたのです。「〇〇さんですね。ご両親が心配しています。お話を聞かせください」特捜チームのリーダーは、こう声をかけ、抵抗もされずに無事保護。しかし、話を聞いたところ、家出した原因が親御さんとの関係の問題であり、自宅には帰りたくない旨を伝えてきたのです。本人発見はずすぐに親御さんに伝えられましたが、息子の事情も理解できるため、探偵が間に入ることになりました。三日ほど様子を見つつ、自主的な帰宅を促し、探偵の説得と親御さんの反省の言葉もあり、息子さんはその後無事に帰宅したのでした。家出人の発見は、まさにいろんなケースがあり、事情も様々です。妻からの依頼で行方不明となっていた夫を捜索したところ、河川敷の動かない車の中で寝泊まり、ホームレスの世捨て人になっていたこともありました。変わったところでは、家出人が自宅マンションの配電ボックス室の中で、数週間にわたって暮らしていたこともありました。中年過ぎの男性家出人のケースで多い発見場所は、地方の温泉旅館やダム工事の宿舎など、働きながら暮らせるところです。身元をごまかしている場合も多く、雇用している側もそれほど気に留めず、あるいは知っていても知らないふりをして働かせていることもありました。いずれにしても、人生に疲れたり、家族との生活に絶望したりと、家出人の事情を探れば探るほど、現代社会の疲弊感を垣間見ることになります。ただし、無事家出人を発見し、家族と対面した時に涙を流して喜んでくれて、このことをきっかけに問題を解決するよう前向きになっていく姿を見るのは、探偵としてとても嬉しいものです。