法的手段による最終解決は「強制執行」
・強制執行の申立をするまでの手続きは分割払いのパソコン代金を払わないので、売主が買主のところへ行って、いったん渡したパソコンを持ち帰るーこのような強制手段は自力救済といって、わが国では許されておりません。国または国の機関が、権利者であることを認めたもの、たとえば判決書などがあって、初めて国の力を借りて強制執行はできるのです。この判決書などを債務名義といい、調停調書、和解調書、仮執行宜言付支払督促、執行証書(執行認諸文言付公正証書)などがこれに当たります。ただ、この債務名義のみでは強制執行はできません。この債務名義に執行力がある旨を公証してもらう必要があります。これを執行文といい、訴訟記録のある裁判所、公正証書を作った公証人役場に執行文付与申請をします(少額訴訟の判決、仮執行官言付支払督促の場合は不要)。債務名義は、これを債務者に送達しなければなりません(判決などは職権で送達されます)。いきなり強制執行というわけにはいかないのです。送達は、裁判所の執行機関である執行官に送達申請書を出して送達してもらい、後日、送達証明書をもらいます。この送達証明書を添付して、強制執行申請書を送達機関(不動産の場合は所在地の裁判所、それ以外は執行官室)に提出します。なお、執行に要する費用は予納が必要です。 ・強制執行にはどんな方法があるかどのような財産に対して強制執行をするかで、強制執行の申立先が異なります。不動産の場合には、不動産所在地の裁判所が執行裁判所となります。申立があると裁判所は、競売開始決定をし(登記簿に記載され差押えの効力を持つ)、競売を行うことになります。家財道具、機械、商品などの動産の場合の執行機関は、裁判所の執行官です。現金はその場で押さえますが、それ以外の物は競売にかけます。債務者に預金や貸金や売掛金などの債権があれば、これも差し押さえることができ、裁判所の差押命令によって行われます。差押命令が出ますと、差押債権の債務者(第三債権者という。給料債権なら事業主)は、債務者に対して支払うことを禁止され、債権者による取立てが指示されます。また、債権については、転付命令という方法もあります。債務者の持っている債権を、直接債権者へ移してもらう方法です。⭐︎ポイント財産の種類により強制執行の方法は違う。