示談の交渉に当たっては感情的にならないこと
独りよがりの判断や感情的にならないことトラブルが生じた場合、自分の主張が一方的に正しいと思いがちです。もちろん、こうした場合もあるでしょうが、当然ながら相手がいることですし、相手には相手の主張(言い分)がある場合が多いのです。独りよがりの主観だけで判断していると、相手を説得することはできず、紛争がいっそうエスカレートしないとも限りません。そこで、相手方との話し合いの前に、トラブルの実態を整理しておくことが必要です。第三者あるいは相手方の立場から冷静にトラブルを考えてみるのです。そうすれば、トラブルの原因も客観的に認識ができ、解決のために障害となっている部分、あるいは解決のための妥協点も出てきます。主観(思いつき)を排除するには、第三者の意見や専門家の意見を聞くことも重要です。場合によっては、法律書を読むことも必要でしょう。意外と素人判断では、正しいと思っていても間違っている場合もあります。こうして、知識を得、そして、相手方にその根拠を示して説得することにより、いたずらな議論の応酬は避けられます。また、交渉では感情的にならないことが重要です。感情的になって、つい、「お前が悪いんだ」と一方的に怒鳴る人もいます。自分が正しいと思っているのに反論されると、つい怒鳴りたい気持ちも分かりますが、相手方によっては「売られた喧嘩は買おうじゃないか」とお互いが感情的になり、紛争がよりエスカレートする場合もありますので、得策とは言えません。・最大の問題は示談した内容を相手が守ってくれるか示談では、通常、相手方との交渉→妥協↓示談書の作成↓示談の内容の履行といった経緯をたどります。示談による解決で、当事者が気をつけなければならないのは、本当に相手方が肩頼できるかということです。示談は和解契約としての効力がありますが、示談の内容どおりの履行がない場合に、自力による債務の確保(相手の物を勝手に持ち出して換金するなど)はできません。訴訟が必要になります。貸金の返済のトラブルを例にとれば、訴訟をして勝訴の判決を取った後、裁判所や執行官に依頼して相手方の財産に対して強制執行をして回収するしかないのです。相手方にその財産さえない場合には強制執行もできません。つまり、相手方に誠意がなければ、示談書は絵に画いた餅と同じになりかねないということです。誠意がなく、時間を稼ぐために、示談に応じている人に対しては、最初から訴訟という手段に訴えておいた方が時間の節約になり得策なのです。⭐︎ポイント示談では相手に誠意があるかどうかを、まず判断すること。