交渉相手のことも詳しく調べる
可能な限り相手方の調査をして交渉に臨むこと孫子の兵法の中に「彼を知り己を知らば百戦危うからず」という言葉があります。示談の交渉は、戦ではありませんが、言葉による駆け引きがあり、自分に有利なように解決へ導こうとする心理的な戦いとも言えます。示談交渉を開始するに先立って、相手方の人柄、能力、趣味、交際範囲、資産能力など調査できることは可能な限り調べ上げた上で、交渉の場に臨むべきです。調べることによって、相手方の人物像が浮かんできますし、それに戦術も立てやすくなります。たとえば、野球が好きであれば大リーグの大谷選手の活躍ぶりから、囲碁が好きであれば若手女流棋士の活躍などから話を切り出すことによって、会話がスムーズに進むことも考えられます。また、共通の知人でもいれば、「〇〇が御無沙汰していると言っていました」などと、話の糸口を切り開くこともできます。性格や資産の調査からは、相手が金が欲しくてモメているのか、感情的な部分でトラブっているのか、紛争の原因を推し量る手だてとなります。交渉は、会話のキャッチボールみたいなものです。相手の取りやすいような玉を投げてあげること、それには相手の好きなコース、球種など、事前の調査が欠かせないということなのです。相手の人物像を意識しながら話を進めること代理人が交渉の場に出てくることもありますが、代理人は紛争の当事者ではありませんから、比較的冷静に話を進めることが可能です。交渉相手が紛争の当事者であれば、最初の、すなわち第一印象が大事です。交渉の基本は、誠意をもって話し合っていくことですが、ただ漫然と話せばよいというものではありません。会話というキャッチボールを通じて、相手の人となり、相手の言い分、妥協の余地などを探らなければなりません。その際にも、事前に入手した相手方に関する情報がものを言います。じっくり型か短気か、話を聞くタイプか自分の言いたいことを言うだけのタイプか、金にうるさいタイプか金には鷹揚なタイプかなどが分かることで、話の持っていき方も変わってきます。そこは、相手に応じて、臨機応変の対応をしなければなりません。示談交渉が1回で解決できることは稀です。交渉の基本の第2番目は、熱意を持って粘り強く頑張ること、です。相手の言うことをよく聞いて、相手の立場になって考えてみることも必要です。そのためにも、相手の人物調査がかせないと言えます。ポイント交渉相手のことがわかれば、交渉もしやすくなる。