示談は期限を切って交渉する
・事前に交渉に期限をつける提案をトラブルを抱え込んだまま生活を送るのは、当事者にとって気の重いものです。できることなら早く解決したいと、お互いに思っているはずです。示談では、2~3回交渉を重ねると、後は平行線のままズルズルと長引いてしまうことがよくあります。このような交渉の仕方は不毛です。そこで、交渉を始めるに際して、示談交渉に期限を設ける提案をしてみてはどうでしょうか。トラブルの内容にもよりますが、最長でも回数にして10回、期間は6か月が一つの目安になります。もちろん、ケース・バイ・ケースで、お互いの金額にそれほど差がない場合には、それこそ誠意をもって粘り強く交渉することが大事です。しかし、示談が成立するということは、お互いが「これで仕方がない」と踏ん切りをつけることですから、交渉を数多く行ったからといって、効果が上がるものではありません。回数にして10回、期限が6か月ということがお互いに頭に入っていれば、お互いに真剣に話し合えると思います。また、これぐらいの交渉を重ねれば、話も相当煮詰まってくるはずです。 交渉に進展が見られなければ打ち切りも仕方がないそれでも、話が一向に進展しない場合には、示談による解決は望み薄と判断してもよいでしょう。こんな場合には、交渉を打ち切って、他の手段(調停や裁判に持ち込むこと)も考える必要があります。ただ、前にもちょっと触れましたが、訴訟になると、手間も暇も金もかかります。訴訟を抱えるうっとうしさは、示談交渉の比ではありません。もちろん、訴訟は素人にはなかなか手に負えませんから、弁護士に依頼することになります。その結果、弁護士との打ち合わせも、必要となります。訴訟を起こした後で、やはり示談によって解決したいからと、当事者で話し合いを始めることは、これはルール違反です。いったん、弁護士に依頼したわけですから、弁護士を通じて示談による解決を図らねばなりません。また、訴訟の途中で、裁判官に申し出て、和解による解決をはかる道もありますし、裁判官から和解の勧告を受けることもありますから、そのとき和解による解決を図ることもできます。訴訟になれば、一審だけで早くても半年、長ければ2年前後かかることも珍しいことではありません。この間、うっとうしい気分で過ごすより、示談や和解で解決して、スッキリしたほうが精神衛生上はるかにいいはずです。ポイント交渉に見切りをつけることも場合によっては必要。