民事上のトラブルなら必ず和解できるのか
・公序良俗に違反するもの・正義に反するものはダメ金銭の貸借に限らず、土地・建物の売買や貸借、交通事故の損害賠償など、当事者間で紛争になっていることについては、原則として和解することができます。和解契約の場合であっても、訴え提起前の和解の場合であっても、同様です。ただ、「原則として」と断ったのは、契約の内容が法律に違反するものであったり、公序良俗(民法90条)に反するものであった場合は、和解でも認められないからです。すなわち、賭博により負けた金を支払う内容の和解、愛人契約を行う和解、殺人を依頼したのに実行しないための損害賠償に関する和解などのケースです。訴え提起前の和解や訴訟上の和解であれば、裁判官がなんらかの形で関与しますので、このような和解が認められることはありませんが、単なる和解契約の場合には、当事者の合意のみによって契約は成立しますから、法律に反する契約ができあがるかもしれませんが、相手が契約を履行せず、訴訟に訴えた場合には、契約は無効とされてしまいます。その他、夫婦親子などの親族関係事件では、当事者に任意の処分を認めないものがあります(別居契約、親権放棄など)。これについても和解契約は無効とされます。 ・和解の利用の仕方はいろいろある示談では、相手が示談で決められた内容を実行しない場合に備えて、公証(人)役場で示談書を公正証書にしておき、これに強制執行認諾条項(18ページ参照)を入れておくことで、履行の確保を図ることができます。ただ、これができるのは金銭の履行に限られます。一方、訴え提起前の和解でも、訴訟上の和解でも、いったん、和解調書が作成されれば、金銭貸借に限らず、土地や建物の明け渡しでも、物の引き渡しでも、訴訟を起こして判決をもらう必要もなく、強制執行ができることになっています。また、和解の話し合いでは、当事者に限らず、第三者(たとえば、保証人であるとか担保提供者など)を話し合いの場に呼んで、話をまとめることも可能です。さらに、金銭による支払いができない場合であっても、これに代わる何らかの代替方法(代替物の提供など)による解決を図ることもできます。⭐︎ポイント法律に違反するものや公序良俗に反するものは認められない。