住宅ローンの返済で困ったときの相談先
2025/09/05
・増加する住宅ローン破産平成30年中の自己破産申立件数は7万3099件(自然人のみ)で、ここ数年、減少しているとは言え、住宅ローン絡みの自己破産もまだまだ多くあります。特に、バブル期に高値で不動産を購入し、高額の住宅ローンを組んでいる人で、会社の倒産やリストラによる失業の憂き目にあった人などにとっては深刻な問題です。住宅ローンの返済が困難になり、借金についての法的処理が必要となった場合には、前項で述べた借金整理と同様の方法で債務の整理をすることになりますが、借入先に相談するのも一つの方法です。最近では、住宅ローンの返済が困難な人も多く、こうした人に対処するために支払延期などの措置が講じられています。・住宅金融支援機構(旧公庫)での相談住宅金融支援機構の支店等では、ローンの返済に関する相談に応じています。現在の月々の返済が困難な状況にある人は、相談するとよいでしょう。ちなみに住宅金融支援機構の住宅ローンに関しては、返済方法の特例が設けられていて、倒産による解雇やリストラによる転退職、本体・ボーナスカット、残業等の削減による減収などの場合には、一定の条件を満たせば最長で15年間の返済期間の延長、元金の支払の一時休止(利息は支払う。最長3年)ができます。自営業者の場合も、事業不振による倒産・魔業、連鎖倒産、受注減による倒産・減収などの場合に、同特例が適用されます。・全国銀行協会相談室・とりひき相談所銀行からの住宅ローンの借入れで、返済が困難な人に対しては、借入先の銀行で相談にのってくれます。しかし、取引先の銀行での相談はなかなかやりにくいものです。こうした場合には、銀行協会相談室あるいはとりひき相談所を利用するのもよいでしょう。銀行とりひき相談所は全国に51か所あり、銀行に関するさまざまな相談・意見・苦情を受け付けています。また、各種のトラブルがなかなか解決しない場合には、全国銀行協会のあっせん委員会があります。ここでは、あっせん案が提示され、受諾すると和解契約書が作成されます。なお、全国銀行協会相談室と一部のとりひき相談所では、銀行ローンの返済で困っている人のために、カウンセリングサービス(無料)が実施されています。⭐︎ホイントまずは、相談所で弁護士に相談すること。
お金の返済ができない場合の相談先
2025/09/05
・借金の返済ができないときの借金整理借金の返済ができないときの解決としては、貸主(債権者)と話し合って任意整理(私的整理)をする方法、民事調停(特定調停)による方法、民事再生法に基づく再生(個人・法人)、自己破産の方法があります。また、消費者金融からの借金で、過払金がある場合には弁護士等に頼んで債務整理をするケースが多いようです。相談等については、弁護士会の法律相談センター、自治体の法律相談所が一般的です。東京の場合、新宿、蒲田などに借金問題を主にする相談センターが置かれています。・(公財)日本クレジットカウンセリング協会複数のクレジット会社に債務があり、返済が困難な状況に陥っている多重債務者に対して、その社会的、経済的な立ち直りを支援するための相談機関として「財団法人日本クレジットカウンセリング協会」があります。業務内容は、①多重債務者の更生・救済のためのカウンセリング業務、②多重債務者発生防止のための啓発業務を主としています。カウンセリングは無料で秘密厳守。ただし、カウンセリングを受けるには、①クレジットの利用者であること。②本人に自発的な債務返済の意思があること。3本人の収入などから債務がおおむね3年以内に返済可能であること。④債務が個人的なものであること(個人事業者が営業で負った債務、法人の債務は含まない)。⑤本人が日本クレジットカウンセリング協会に来所できること、の5つです。 ・日本貸金業協会 日本貸金業協会は、貸金業者を会員として設立を許可された法人で、業務の一つとして、相談センター・各支部では借主(債務者等)からの相談・苦情の処理に当たっています。協会へ苦情・相談があると、相手方の貸金業者に対して、苦情の解決に協力するよう要請が行われます。こうした要請にも関わらず、貸金業者が非協力的な場合や、トラブルが複雑な場合等のときには、当事者双方を呼び出して、双方から事情を聴取した上で、双方に対し仲裁案が示されます。それでも非協力的な場合には、財務局や都道府県(監督官庁)、響察または弁護士会等に連絡し、協力が求められます。⭐︎ポイント借金が膨らむ前に対応。
お金の貸し借りのトラブルの相談先
2025/09/05
債権回収のトラブルお金の貸し借りのトラブルには、大別すると、債権者が返済や支払いを求める場合(債権回収)と、借りた人が返済できなくなり何らかの借金整理(債務整理)をしたいなどの場合に分かれます。後者の債務整理については次項で解説します。債権回収のトラブルは、その契約に関して問題などが生じて返済がされないもの、もう一つは借主(債務者)が返済金の都合がつかず、返済が滞る場合とがあります。前者の例は返済する約束にはなっているが、返済日が明確でなかったり、取引で納入した商品に問題があり代金が支払われないなどの場合があります。また、後者の例としては、失業などで収入がなくなり、債務者が支払えなくなった場合などが考えられます。いずれも債務者が任意に支払わない、あるいは支払えないのですから、何らかの法的対策が必要となります。また、お金の問題には、貯蓄や保険・投資などのトラブルもあります。こうしたトラブルは、業界が設けている相談所でとりあえず相談するのも一方法です。話合いによる解決が困難な場合、提携する弁護士会の仲裁センター等で判断をしてもらうことができる場合もあります。お金がない者からの取立ては困難です。月払いにしたり保証人を立てるなど対策も必要です。 ・弁護士会の法律相談センターなどの活用 こうした場合、債権者は回収のために手を打つことになります。弁護士への相談や訴訟などでも、非常に数が多いのが債権回収の事件です。会社や個人で顧問弁護士がいる場合はともかくとして知人や友人に弁護士がいない場合には、弁護士会の法律相談センター(10ページ参照)や自治体の法律相談所(16ページ参照)を利用するとよいでしょう。 訴訟をせずに、なんとか話し合いで解決したい場合には、民事調停の申立をするのも一つの方法です。また、その過程において、内容証明郵便による催告をしたり、支払予や減額などで示談したり、その内容を公正証書にする場合もあります。こうした知識についても、弁護士などの専門家に一度は相談することです。なお、債権回収では取立屋の存在などが問題となりますが、債権回収などの法律問題に関与して報酬を得ることは弁護士法違反ですので避けてください。ポイント弁護士会の法律相談センターなどを活用。
業界団体などの民間機関の相談所は対応が早い
2025/09/05
・業界団体が運営する相談所は多い民間の企業では、その企業が消費者等相談室(苦情相談窓口)を置いている場合があります。トラブルの相手が企業の場合、苦情申立によって、企業が対応して早期に解決する場合があります。しかし、企業側がトラブル解決に応じるとは限りません。こうした場合、その職種の業界団体が、業務に関する苦情・トラブル解決の機関を設けている場合がありますので、ここに相談するのも一つの方法です。業界団体には、銀行とりひき相談所、そんぽADRセンター、託相談所などがあり、また、製造物責任法(PL法)の制定によって、各業界PLセンターが数多く誕生しています(H6ページ参照)。業界の機関は、企業側に判断が偏りがちと思われそうですが、業界の健全な発展のため、あるいは法律に基づいて設立されたものが多く、公正な判断がなされる場合がほとんどです。民間機関のトラブルに対する対処法は、説明をするだけのものから助言、相談、和解のあっせん・調停、仲裁をするものまでさまざまです。苦情事案について話合いによる解決が図られるよう必要な助力を行ってくれます。しかし、話合いによる解決の見込みが立たない場合、業界団体(協会)と弁護士会とが協定を結んでいる弁護士会の運営する「仲裁センター」の利用申込みが可能です。仲裁センター利用の費用については、仲裁の申立時に必要な申立手数料は消費税抜きで、(1万円)および1回の話合いごとに必要となる期日手数料(5000円、原則3回程度)は協会が負担してくれる場合があります。その場合、解決した際に解決額に応じて必要となる成立手数料は、申立人と相手方企業で負担(通常は折半)することになります。図NPO法人の登場とボランティア団体「NPO法人(特定非営利活動法人)」の一つに「SOS総合相談グループ」というのがあります。この組織は、弁護士、公証人、建築士などの専門家からなる東京都認定の集団で、相談員が立ち会い当事者から話を聞いたり、相手方との交渉もしてくれます。ただし、30分程度の相談は無料ですが、それ以降は会員以外の場合は有料(30分を超えると5000円必要)になります。業務の内容は、トラブル解決のための相談、助言・アドバイス、他の機関への紹介などです。(SOS総合相談グループの連絡先む031329114120)また、単なるボランティア団体のような存在もあります。たとえば、「••被害者の会」といったものです。サラ金問題で、自己破産者が急増しはじめたころ、自己破産した人自らが破産の方法などの相談に応じた「クレジット・サラ金被害者の会」などがあります。こうした団体はお互いが理解しあえて、問題解決にも熱心です。ただし、どういう団体かは十分調査し、示談屋的な存在には気を付けてください。ポイントトラブル解決の手段は多くある。
国や都道府県などの自治体の法律相談所は無料で活用できる
2025/09/05
国の法律相談所国(行政)、たとえば法務省が法律相談に応じてくれることはありません。ただし、各省庁は法案を作り、国会に上程したり、また、省令や通達を出したりして、法律と深く関わっていますので、法律の内容について担当部局に問い合わせれば教えてくれます。また、行政が直接あるいは間接的に運営する機関は結構あります。直接行っているものとしては、「経済産業省消費者相談室」、労働基準監督署の解雇・労働条件をめぐる紛争に関する相手方への助言や指導、「紛争調査委員会」などがあります。また、間接的に運営しているものとしては、前にも触れましたが、国民生活センター、労働委員会、建設工事紛争審査会、公害紛争調整委員会、人権相談所などもあります(後述)。国は許認可事業であれば、許認可した企業の監督権もあります。たとえば消費者金融であれば、監督官庁は金融庁(各地の財務局)あるいは都道府県ですので、ここに苦情を申し立てることによって、該当する業者に対して改善の指導が行われたり、業務の停止・廃止などの処分がなされることになります。こうした苦情を申し立てることにより、トラブルの解決につながることも多くあります。 ・自治体の法律相談所 各都道府県や市区町村役場では、各種相談を市民のサービスの一環として無料で行っているところがあります。ただし、通常、トラブル解決のための示談のあっせんや仲裁をしてくれるというものではありません。トラブルが起きた場合、まず、自治体の相談機関を利用して、法律的にはどこが問題で、どういう解決法があるかなどの知識を得るとよいでしょう。 (東京都の各種相談)東京都ではさまざまな相談が行われています。暮しの相談には都政一般相談、交通事故相談、架空請求に対する相談・助言、女性相談、賃金被害相談などがあります。交通事故相談では、弁護士等が相談にあたり、示談のあっせんも行います。また、東京都の区市役所では、各種法律相談等に応じています。千代田区を例にとれば、法律相談(借地・借家、相続、交通事故等の法律問題)、税務相談、不動産相談、人権身の上相談などがあります。この他、都道府県が運営する消費生活センター、労政事務所(名称は各地で異なる)などもあります。⭐︎ポイント相談は無料なので、積極的に活用する。
弁護士会の紛争解決センターでは仲裁の判断をしてくれる
2025/09/05
・仲裁センターの紛争処理の内容弁護士会は全国の各都道府県にあり(25ページ参照)、この弁護士会に弁護士は登録して所属しています。弁護士会の活動の中に、法律相談あるいは民事紛争の仲裁があります。仲裁センター(名称は紛争解決センターとするものが多い)は全国に31か所(支部等含む)あり、民事事件の全般について、申立によりトラブルの和解のあっせん・仲裁の判断を行います。手続きの流れの概略は、法律相談→仲裁センターでの受付→和解の成立あるいは仲裁による仲裁判断となります。和解(当事者双方の合意)で解決する場合には、和解契約書が作成されます。また、仲裁は、仲裁人(弁護士)の判断に従って紛争を解決してよいという双方の合意ができた場合(合意ができない場合は不成立で他の方法を考えることになる)に、仲裁人が仲裁判断をくだします。したがって、仲裁人の判断が最終的なものとなります。この仲裁判断は確定判決と同じ効力があり、仲裁判断書で強制執行もできます(執行判決が必要)。ただし、仲裁判断では、この判断の内容に不服でも、原則として不服申立ができませんので注意が必要です。通常、3回程度の期日で解決するよう努力がなされますので、早期解決が可能です。また、訴訟と異なり、比較的、穏便な解決法といえます。利用手数料は、通常、申立時の申立手数料、仲裁の日の期日手数料、成立手数料(解決額に 応じて異なる)を支払います。この金額は、弁護士を依頼して訴訟をする場合に比べ割安になっ ています。詳細は各センターに問い合わせてください。⭐︎ポイント 比較的安く短時間に解決する方法だが、仲裁判断に対して不服申立ができない。
法テラスでは相談先や解決法の情報提供をしている
2025/09/05
・法テラス(日本司法支援センター)とは平成16年に成立した「総合法律支援法」は、全国どこでも法による紛争解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を目指して、制定された法律です。この法律により、「法テラス」(正式名称は日本司法支援センター)が設立されました。法テラスは、最高裁判所、日本弁護士連合会が運営に関与する独立行政型の法人として発足し、多くの人が利用しています。・法テラスの業務の概要法テラスの業務の概要は、以下のとおりです。①情報の提供 紛争の解決に役立つ法制度の紹介をしています。また、法律サービスを提供する関係機関等の情報を集約して、無料で提供をしています。なお、情報提供業務では、個々のトラブルの内容について法律判断がされるものではありません。②民事法律扶助1. 法律相談援助資力の乏しく法律相談が必要な人のための、弁護士・特定司法書士による無料法律相談。下記の援助を希望する場合にも、法律相談が必要です。2. 代理援助裁判や調停、交渉などで専門家の代理が必要な場合に、弁護士・認定司法書土を紹介し、その費用の立替えが行われます。ただし、援助を受けるためには、審査において以下の3つの要件を満たす必要があります。⚫︎資力基準 自分で負担をできないこと。年収(手取り、賞与含む)の目安は次のとおり。・単身者一18万2000円以下・2人家族>25万1000円以下・3人家族>27万2000円以下・4人家族>29万9000円以下なお、この金額を上回る場合でも、家賃、住宅ローン、医療費等の出費がある場合には考慮されます。また、東京や大阪など大都市圏の生活保護一級地は、前記の額に10%を加算。なお、資産要件もありますので、手続きをする法テラスで確認してください。⚫︎事件の内容が勝訴の見込みがないとは言えないこと。勝訴、和解、示談等により紛争解決の見込みがあるものや、自己破産で免責許可の見込みがあるものも含まれます。⚫︎民事法律扶助の趣旨に適すること。書類作成援助自分で裁判を起こす場合に、裁判所に提出する書類の作成を行う弁護士・司法書士を紹介し、その費用の立替え。援助要件は、2lの代理援助の場合と同様。③ その他犯罪被害者の支援、国選弁護士確保等業務が行われています。なお、法テラスは、全国に約80の事務所があり、コールセンターを設けて、専門のオペレーターが問い合わせに応じています。法テラスの電話番号は、05701078374です。ポイント法テラスでは、情報の提供や民事法律扶助による援助等がなされている。
弁護士会は法律相談センターを設け相談に応じている
2025/09/05
・弁護士会の法律相談センター弁護士会は各都道府県に1か所以上(複数は東京と北海道)あり(巻末資料25ページ参照)、金銭トラブル、借地・借家問題、相続、遺言、離婚、親子の問題、クレジット・サラ金、不動産売買、医療問題、労働問題、民事暴力介入事件、刑事事件など、あらゆる法律相談に応じています。トラブルは長引けば長引くほど解決が困難となる要素をはらんでいます。問題が大きくなる前に、相談するのがベストです。相談は、各地の弁護士会所属の弁護士が当たり、通常は弁護士会館の中の一室で行われます。事前に電話等で連絡し、決められた時間に行くようにしてください。相談は通常30分ですので、要領よく相談するために、紛争の要点などを繋理して、質問事項はメモしておくとよいでしょう。相談は有料(30分5000円(消費税別))ですが、借金に関する相談は無料の所が多いようです。・東京の法律相談センターの例東京について紹介しますと、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の3会による法律相談窓口(霞が関法律相談センター総合受付)が、弁護士会館内に設けられています。ここでは、法律相談についての適切な相談システムの案内が行われています。また、新宿、四谷、八王子などにも法律相談センターがあります。相談項目、費用は左表のとおりです。なお、法テラス(日本司法支援センター)、日弁連交通事故相談センター(無料)については、別項を参照してください。⭐︎ポイントトラブルが拡大する前に早めに相談する。★当番弁護士制度当番弁護士制度は、その日に待機(当番)している弁護士が、犯罪の被疑者(親族も可)からの連絡を受けると、弁護士が無料(初回のみ)で面会(接見)に駆けつけるというもので、全国にこの制度があります。被疑者の疑問や不安に的確に答えてくれます。逮捕されていて、直接連絡ができない場合、察官などに「当番弁護士を頼みます」といえば、連絡してくれます。(東京)刑事弁護センター公03—3580—0082なお、東京弁護士会、大阪弁護士会など一部の弁護士会では離婚や相続などの当事者を対象に無料の民事の当番弁護士制度を導入しています。
2025/09/05
◼️多様化する紛争解決法訴訟のメリットはなんと言っても判決に基づく強制執行ができる点にあります。一方、デメリットは、訴訟には時間や費用(弁護士費用含む)がかかることです。また、相手に資力がない等のために、強制執行ができない場合もあります。◼️訴訟以外での紛争解決こうしたことから、最近では費用が安くて早い、裁判外紛争解決手続き(ADR)によるトラブル解決が注目されています。◼️仲裁法の制定 仲裁法が平成16年の1月に施行されました。仲裁制度とは、当事者が合意によって紛争解決機関を選定し、その仲裁機関(ADRなど)が審査して判断をくだすと、当事者双方がこの判断に拘束されるというものです。つまり、伸裁裁定の合意がある場合には、原則として訴訟などの他の法的手続きをとることはできず、また、仲裁判断は判決と同じ効力を有し、強制執行ができるというものです。仲裁法に対しては、反対意見も多く、消費者契約や個別労働紛争では仲裁合意を解除できるとしたり、無効とする付則が設けられています。
刑事事件として告訴を利用する法
2025/09/05
会社の金を使い込んだという場合、その者に身元保証人がいれば、これに請求することもできますが、身元保証期間が切れていたり、あるいは身元保証を取っていなかった場合には、会社が損害を被ることになります。それが集金した会社の金の使い込みであれば、刑法上の業務上横領罪になります。これは10年以下の懲役です。しかし、刑事事件の犯人として察に突き出しても、使い込まれた金は一銭も戻ってきません。これは頭のよいやり方ではありません。たとえば、使い込んだ者に、親や親族がいれば、連絡をとって、これこれの理由で察に突き出したいが、それでは彼のためにならないので、会社としては金さえ戻れば穏便にコトを処理したい旨を告げます。よほど嫌われ者でなく、それほどの大金でなければ親や親族の側で、何とか都合を付けてくれるものです。■恐喝罪にならないか刑事事件がらみによる損害賠償請求は、何も横領だけに限りません。窃盗であろうと、傷害であろうと、相手に対して不法行為による損害賠償の請求ができます。ただ、権利の行使だからといって、相手を脅迫したり、家に押しかけて勝手に物を持って帰るなどの行為は許されません。しかし、金が戻らなければ、刑事告訴をしますよと告げる行為は、脅迫罪はもちろん、何ら罪になるものではありません。
示談交渉についてのQ&A
2025/09/05
示談は当事者間の約束ですから、これが確実に実行されるのならば示談書作成は必要ありません。たとえば、貸金を現金で一度に支払う場合などです。これが何か月か後に支払うとか、3年の分割払いなどという場合には、将来、相手方にどんな事情の変更が起こるかもしれず、確実に約束が実行されないかもしれません。口頭でも示談は成立しますが、証拠にはなりません。言った、言わないで紛争を解決するための示談が、紛争の種を蒔くことにもなりかねません。面倒がらずに、将来のために示談書は作成しておきましょう。
示談交渉についてのQ&A
2025/09/05
不動産の紛争も多種多様です。不動産の売買をめぐる紛争の場合には、売買代金、買った建物に瑕疵があった場合、登記への不協力などが考えられます。まず、話し合いで責任の所在を明確にし、いつまでに、どのような方法で履行するかをはっきりさせ、その保全手段と一緒に明文化して示談書を作成します。不動産の紛争が借家や借地の明渡しの場合はどうでしょうか。6か月待ってくれれば明け渡すなどという場合には、そのことを示談書にしたため、これが履行されない場合には1か月〇〇万円の損害金を支払うなどの条項を入れておくことが賢明です。