調査の実際=尾行篇
2025/09/05
張り込みの次に探偵の調査を支える重要なスキルが、尾行です。尾行は調査対象者の後に、一定の距離を保ちながらぴったりと張り付き、一挙手一投足を漏れなく監視する手法で、探偵になるとすぐにこの訓練が施されます。まさに探偵のイロハのイ。必修科目と言っても過言ではありません。大切なのは、いかに対象者にバレずに、長期にわたって尾行できるかです。決定的な証拠を手に入れるその瞬間まで、じっと監視されていることに調査対象者に気づかれず、平穏無事に日々を過ごしてもらうことが理想です。そのためのノウハウをお教えしましょう。まず尾行の第一段階は、いわゆる「面取り」から始まります。探偵用語のコーナーで書きましたが「面取り」とは「調査対象者と間違いなく同一人物であると、顔写真をもとに確認すること」です。依頼者から提供された複数の写真をもとにする場合が多いのですが、徹底的に顔あるいは身体の特徴を頭に叩き込みます。大柄の黒縁眼鏡を常時愛用、髭は濃くいつも頬は青々としている、ちょっと右肩を下げて歩く癖がある……などなど。まさに007のジェームズ・ボンドか、ミッション・インポッシブルのイーサン・ハントかというぐらい、プロのスパイ顔負けに目をつぶれば調査対象者の姿が浮かぶほど、記憶します。この事前作業を行わないと、相手を見失った時にすぐに見つけ出すことができません。ベテラン刑事は、指名手配犯の顔と特徴をすべて頭に叩き込み、町を歩いていて偶然犯罪人に遭遇した時でも、瞬時に犯人であると認識できるとか。弊社の探偵も、そうした高いスキルを身に付けています。
車から張り込みをする際、周囲に怪しまれないようにするにはどうすればいいですか?
2025/09/05
A ボンネットを開け修理しているように装うB 女性スタッフと二人で恋人を装うC こまめに移動し場所を変える通常、張り込みは長時間にわたる可能性があるので、車を使ってその中から調査対象者の行動を見張ります。その場合は目立たないごく一般的な営業車の車に二人以上で乗り込み、近くのコインパーキングか、路上でも駐車違反の取締り員が頻繁に来ない場所を選びます。仮に駐車取締り員が来た場合でも、「運転手が乗車し速やかに移動できる」状態にあり、注意を受けた際に移動すれば、原則として違反に問われることはありません。(※停車はOKのエリア限定)車には冷暖房がついていますので、暑い夏や厳寒の冬などでも探偵の疲労度は少なくて済むというメリットがあります。人の目にさらされていても、中で探偵が見張っていると思う人は、まずいません。ただし、屈強な男性探偵が二、三人で、じっと座っているのは、いかにも変です。やはりここでも怪しまれない演出が必要になります。では、どんな演出が最善かというと、長時間継続可能でよくある風景であることが条件になります。ボンネットを開けて故障を装うのは、長時間は無理ですし、親切な人が「ちょっと見せてごらんなさい」と、お節介を焼かないともかぎりません。まめに移動するのは、車での張り込みの基本ですが、それはあくまで駐車違反への対応方法です。最もいいのが男女のカップルで、恋人を装う方法です。運転席に男性、助手席に女性。時折、楽しげな会話をしていれば、通りすがりの人は誰でも、恋人同士が別れを惜しんで、いつまでも車の中でいちゃついている……と思うはずです。張り込みのカモフラージュとして、違和感のない設定と言えるでしょう。答えはBでした。最近の張り込みには、先端機器も多数導入されています。例えば、深夜、暗闇の中で調査対象者の行動を監視する際には、暗視スコープが必需品です。探偵がいると怪しまれる場合は、Wi-Fiが届く場所に小型カメラを仕掛け、離れた場所からその映像をチェックします。電子機器や映像機器の進歩が、探偵の仕事を支えている意外な一面もあるのです。
レストランや喫茶店などの多いところでの張り込みは、どの位置が最適ですか?
2025/09/05
A 対象者の真後ろの座席B できるだけ離れた位置C 対象者の動きが分かる真正面こうした飲食店での調査対象者の行動把握は、実際によくあることです。その場合、張り込み探偵は、閉ざされた同じ空間で対象者と、しばしの時間を過ごすわけですから、慎重な対応が求められます。しかし、だからといって、かしこまって大人しくしていればいいというものでもありません。偶然、その店に居合わせたお客さんとして自然にふるまうことが肝心なのです。とは言っても、目的は調査対象者の行動チェックですから、自分の視野の中に対象者が常に入っていなくてはなりません。離れた席から監視していると、探偵と対象者の間にお客さんが座る可能性があり、そうなると死角が生まれてしまいます。また真正面からチェックするのは、「身バレ」の危険性が高くなり、やってはいけません。正解はA。対象者に気配を感じられずに、逐一様子を把握できる真後ろの席です。不倫相手と同席している場合は、どんな会話をしているのかも重要になりますので、真後ろの席であれば、その会話を録音することも可能です。もちろん調査対象者に気づかれることも、まずありません。
張り込みがバレてしまい、「あんた探偵だろ⁉ 誰から頼まれているのか答えろ!」と追及されました。この時、何と答えますか?
2025/09/05
A「何かの間違いです……。絶対に違います!」B「すみませんが、依頼者の名前は言えません」C「何を言ってるんですか? 警察に行きますか?」いわゆる探偵用語で「身バレ」した際、調査対象者が感情的に迫って来ることはよくあることです。しかし、身の危険を感じる時だからこそ、探偵であることを告白してはいけません。その瞬間から相手はますます感情的になり、「いつ」「誰に」「何を」頼まれたのか、白状するまで解放しません。ならばどうするのがいいのか。絶対に認めず開き直るのが最善です。つまり正解はBの「何を言ってるんですか? 警察に行きますか?」と答える……です。張り込みは探偵にとって、いろんな意味でリスクの高い業務です。ましてや「身バレ」した時の対処を誤ると、その後の調査に大きな影響を与えてしまいます。そこで「身バレ」で生じたマイナスを、なんとかゼロにするために、終始一貫して関係のない第三者であり、わけの分からない因縁をつけられ、逆に迷惑していると主張するのです。相手は、まだ「探偵」だとも、「不倫調査」を行っている最中だとも、確証は持っていません。無関係を装うことで、相手は「あれ? 勘違いだったのかな……?」と、不安になります。それでも声を荒らげ、威嚇するような態度をとるような場合は、警察を呼ぶのが賢明でしょう。しかし、「身バレ」してしまった、この探偵は以後調査業務から外さざるを得ません。
人通りの多い道で張り込みをする場合、周囲に怪しまれないよう対処する方法として、最も適切なものはどれでしょう?
2025/09/05
A ホームレスに変装し道端に寝そべるB 交通量調査員に扮し堂々と張り込むC 見通しの良い喫茶店で何時間もねばる人通りの多い道での張り込みは、比較的楽に対応できますが、絶対にしてはいけないのが調査対象者の行動を監視できる喫茶店やファミレスでの張り込みです。まずお店では長時間の張り込みができません。そして調査対象者が動き出した時、張り込んでいる探偵はすぐにすぐに対応できません。慌てて出て行けば騒ぎになりますし、会計を済ます手間がかかるといってホームレスも、路地裏ならともかく華やかなお店がならぶ繁華街では、警察に通報される恐れがあります。一番良いのが、Bの「交通量調査員に扮し堂々と張り込む」です。読者の皆さんも見たことがあると思いますが、歩道の隅で、パイプ椅子に座り、カウンターを弾きながら交通量を測る、あの調査員に扮するのが周囲の風景に違和感なく溶け込めるのです。手はカウンターを弾きつつも、通る車などまったく見てはいません。見ているのは調査対象者の方です。傍を通る人々はそんなことなど、微塵も気にかけていないので、探偵は堂々と張り込みを何時間でも続けられるのです。
マンションの前で張り込み中、管理人から不審がられ、質問を受けました。その時、何と答えますか?
2025/09/05
A 「ここで、知人を待っているんです」B 「職務上、答えられません」C 「実は私、探偵でして……」住み込みの管理人が常駐しているマンションでは、その前でじっと長時間立っていると必ず注意されます。今では監視カメラも複数設置されていますから、怪しまれない行動が肝要となってきます。例えば十五分ごとに張り込み場所を変え、管理人のチェックの目をかいくぐる手法を使う場合もあります。大きなリュックやスーツケースを抱え、初めての場所を訪ねる風を装うのも効果があります。田舎から出てきて目的地にたどり着けず、迷っているのだなと勝手に解釈されればこっちのものです。さてマンションの管理人から質問された時、どうやり過ごすのか。Aの「ここで、知人を待っているんです」と答えるのがベストです。知人でなくても、恋人でも、家族でも、待ち合わせをして違和感のない人物を想定することが大切です。時々、時計を確認して「まだかな〜」とイライラした様子を見せるのもリアリティが増します。もしも、管理人さんから、「こんなところで待ち合わせですか?」「共通の友人が家を買ったので訪ねる予定なのですが、待ち合わせている彼しか住所を知らないのですよ」と答えれば、管理人さんも納得します。この方法で閑静な住宅街でも大丈夫です。
張り込み中、近所の居住者から、いかにも怪しい者をみるような態度で、声をかけられました。その時、調査員が取る行動として正しいものはどれですか?
2025/09/05
A 調査員と名乗り「家出人を探している」と架空の案件を説明し誤解を解くB 調査員と名乗り「不動産を確認にきた不動産屋」と身分を偽るC 何事もなかったような素振りで無視する張り込み場所の近隣の住人から、「長い時間ここにいるけど、何をしているのかしら?」と、怪しまれることはよくあります。遠巻きに読んでいたり、警察に通報したりする人もいます。警察の場合は、職務質問を受けたら正直に社員証をみせて、探偵である旨を告げれば納得してくれます。ただしこうした場合は、近隣とのトラブルを避けるために張り込み場所を変えたり、場合によっては、この日の業務を中断して後日改めて行ったりすることもあります。最も対処に困るのが、住人の方からの声掛けです。「なぜずっとここにいるんですか?」「さっきから見てると、なんだか怪しい! 何者!?」と、最初から犯罪者でも見るような態度で迫ってきます。こうした時には、焦らず無視せず、誠実な対応がその後の調査をやりやすくします。従って答えは、Aの「調査員と名乗り『家出人を探している』と架空の案件を説明し誤解を解く」です。「家出人を探している」はあくまで方便ではありますが、探偵たちの業務の中には、不倫調査以外に「家出人捜索」もあり、弊社では力を入れている分野の一つとなっていることが、不倫調査だと話してしまうと、変に好奇心をあおって探偵がここに張り込んでいる旨が、調査対象者に伝わってしまう危険性があります。常に身なりは清潔に保つよう指導していますので、声をかけられた際には笑顔で対応し、「怪しい者ではない」ことを理解してもらうようにしています。また、張り込みをする際、近所に住んでいる方々に菓子折りを持って行き、事前に挨拶をすることもあります。張り込み一つにも、こうした目に見えない努力が隠されているのです。
調査の実際=張り込み篇
2025/09/05
探偵の調査において必須と言えるのが、張り込みです。張り込みでは特定の場所に長時間滞在し、調査対象者の行動や決定的瞬間を捉えるため、忍耐強くその時を待ちます。では探偵たちが張り込みをする最適な場所とは、どんなところなのでしょうか? 駐車場や空き地など見通しの良い場所でしょうか? それとも路地の隙間のような狭い場所でしょうか?実は雨やドラマでお馴染みの、電信柱の後ろなのです。なぜかというと、探偵が張り込みをしていることがバレてはいけないため。見通しの良い場所では、調査対象者に簡単に、「怪しい人がいる」と感づかれてしまいます。家と家の間の路地の隙間では、逆に視野が狭まって張り込みの用を足しませんし、明らかに怪しい人物と見なされると警察に通報されてしまいます。その点、電信柱の後ろは意外な盲点で、人ひとり隠れるにはぴったりの障害物です。仮に怪しい人だと思われても、電話をかけるふりをしていたり、スマホでメールをいじっていたりすれば、通行の迷惑にならないように気を遣っている人になれます。ただし電信柱の後ろというポジションは、車を使わない単独での張り込みの場合に限ります。
探偵用語を教えましょう
2025/09/05
調査をするにあたり、一般人には一度聞いたたけでは分からない業界用語、いわゆる探偵の間だけで通じる隠語が存在します。探偵という職業を少しでも知ってもらえるよう、ご紹介したいと思います。「目を切る」→ 一人の探偵が張り込みをしている時に、自分はこれで目を離すので代わりちゃんと見ていて下さいねという合図。「対」→ 調査対象者の略で、依頼者から調査するように依頼された人物を指す。夫が不倫をしている場合は、一対は夫ということになる。「完」→ 調査対象者の略で、第二対象者と不倫関係にある愛人のことを指す。「失尾」→ 尾行中に調査対象を見失うこと。探偵にとっては大きなミス。「身バレ」→ 探偵個人や不倫調査対象者に認識され、怪しまれること。「宅割り」→ 調査対象である愛人あるいは重要関係者の自宅が分かること。「面取り」→ 調査対象者と間違いなく同一人物であると、顔写真をもとに確認すること。「服取り」→ 顔写真で特定が厳しいときなどに、洋服の写真で特定すること。「勧追い」→ 勤務先まで追いかけ、職業や仕事内容を把握すること。「飛び込み」→ 探偵という身分を隠して聞き込みをすること。他にもいろいろありますが、こうした探偵用語が生まれた背景には、調査の現場でこちらが探偵と分からないように会話したことが始まりと言われています。弊社だけでなく他社も同じような探偵用語を使用していますので、恐らく警察関係から伝わってきた言葉がベースになっているものと思われます。さてこうした探偵用語は、一体、どんな場面で使われるのか。実際の現場にご案内しましょう。
探偵になる動機
2025/09/05
弊社の探偵たちに、「なぜ探偵になったのか?」についてアンケートを行いました。探偵の実態に八割が、調査自体に関心を持ってこの職業に就いたことが分かります。第3位に収入がランクインしていますが、経済的な側面よりやりがいを求めて探偵になろうと考える人が多いようです。ちなみに、「その他」で回答した人は、弊社のすべての依頼者です。自ら依頼し、探偵の調査ぶりを実際に知っているからこそ、なりたいと思ったとか。探偵社を経営している立場からすると、探偵の職業が注目を集めて、なりたいと希望する人たちが増えてくれると嬉しい限りです。
依頼者のこれからのアドバイス
2025/09/05
最後には依頼者の方の選択になりますが、私たちが集めた証拠をもとに「離婚」または「修復」、あるいは知らなかったことにして、「現状維持」か、ご本人の意志を確認します。もし「離婚」を希望されるなら、離婚訴訟に向けて法的な役割を担う、弁護士や行政書士の紹介など、できる限りの支援を行います。「修復」したいと望まれるなら、心を傷つけ、事実に向き合い、赤信号の灯る夫婦関係をどう改善していくか、経験豊富なカウンセラーが修復のためのアドバイスを施します。一番厄介なのは、不倫が明らかになったにもかかわらず、見なかったことにして「現状維持」を選択した場合です。主に夫への経済的な依存が強い妻のケースが多く、その気持も分からないではありません。しかし、このまま不倫を放置しておいても、良いことは一つもないと断言できます。できれば勇気をもって、不倫を犯したことを夫婦の間のタブーとせず、事実を突き付けすべてを白日の下に晒し、本音での話し合いを行うことをお勧めします。この辛い行動を乗り越えることで愛情が深まり、関係を修復してきたご夫婦を何組も見てきました。それでもだめな場合は、「離婚」も止むを得ません。未来の自分のために、前向きで幸せな選択をしてほしいと私はいつも願っています。
依頼者への報告
2025/09/05
報告書をまとめあげたら、依頼者にご来社いただいて証拠映像を見せつつ、報告書を見せながら経緯説明をします。ショッキングな内容を伴うため、ここでの報告は慎重の上にも慎重を期し、また正確さと客観性を保つとを意識して分かりやすく伝えます。調査を担当した探偵と専任カウンセラーが入り、感情を高ぶらせる依頼者の心に寄り添って、その都度心のケアを行っていきます。☆証拠として有効なもの・ホテルへ出入りする映像・写真☆証拠として弱いもの・不倫を疑わせる会話録音・クレジットカードの利用明細・Suica、PASMOなどの利用履歴・メールでのやりとり・編集や加工が疑われる映像・写真・日記やブログ、小説などの創作物・第三者の目撃証言・違法な方法で入手した証拠(盗聴など)・噂や伝聞